歌舞伎とクラシック音楽の型

今日は音楽から少し離れて歌舞伎の感想を書いてみようと思います。とはいっても歌舞伎の事はよく分かりません。クラシックのコンサートを聴いて「私は音楽のことは分からないけど、云々」と言う方と同じくらい歌舞伎には馴染みがないのです。でも、今回博多座大歌舞伎に行ってみて思いのほか楽しめました。最近人気が出ている愛之助と、染五郎というダブルキャストだったので少しミーハーになれたのかもしれないし、席が一列目のど真ん中で(頂き物ですが)迫力満点だったからかもしれません。「角力場」。染五郎演じる濡髪と愛之助演じる放駒の対照的な両力士のやり取りが面白い演目でした。本当に勉強不足で何も分からないのですが、芝居というか伝統の型というものが、幼い頃から訓練しないと身に付かない代物で、それを継承していくために大変な努力が必要だということは肌で感じ取れた気がします。台詞の抑揚や決めのポーズ(名前があるのでしょうが、ド素人なので)がハマっている感じがとにかく気持ちいいですね。イントネーションがはずれたり手足指先の角度などがちょっとズレただけで格好がつかないのでしょう。素人が真似して睨んで「キイっ!」とやったところで「怪獣ですか」とつっこまれてしまいます。クラシック音楽でも同じです。メロディーの歌い回しひとつとっても、クレッシェンドが早すぎたり、フレーズの頭が大きすぎたり、頂点の音が弱かったりタイミングが少しズレると「なんか違うな」とむず痒い思いをする訳です。芸事にはとにかくセンスと精進あるのみ。日本にも立派な芸事があるものです。また観に行きたいと思います。(今度はチケットを買って!)