モーツァルトのなかのベートーヴェン

モーツァルトの協奏曲で、とりわけ好きなkv.466、ニ短調。数年前に買っておいたこの楽譜を開きました。最初の何ページかは指使いが走り書きしてありました。恐らく買った時に少し弾いてみたのでしょうね。記憶にございません。この曲は華やかなモーツァルトの協奏曲群の中で、ひと際光っています。なんでかって、曲想がダーク&ビターだからです。ベートーヴェンのお気に入りでもあったようで、ベートーヴェン作のカデンツァが残されています。天真爛漫で明るいイメージがつきまとうモーツァルトですが、後期の作品にはシリアスな面が見え隠れします。35歳で世をさった神童。あと10年長く生きていたら、もっと実直で、厚みのある作風になっていったのではないかな。その意味で、このニ短調の協奏曲はモーツァルトの中で、最もベートーヴェンらしいと言えるかもしれません。